駅のホームには、中学生くらいの子供たちがたくさんいた。
どうやら学生の運動部で大会かなにかあったようだ。
車内も少し混んでいた。
ワタシはドア寄りに立って、いつになったら座れるだろう、と考えていた。
前の補助座席には運動着姿の女の子が二人座っていて、疲れているのか二人とも時々寝てしまい、カクッとなっては顔をあげる。
かわいいなぁ~と思って見ていると、いくつか目の駅で、妊婦さんが乗車した。
年は同じくらいだろうか、おなかが少し大きいし、服もかわいいけどふわっとした感じの服で、ワタシは幼馴染を思い出した。
彼女と最後に会ったのが、4月の頭。
今は隣の隣のも一つ隣の県に住む彼女がこちらに戻ってきたのは、友達の出産祝いをするためだった。
彼女自身も、今年夏出産予定で、おなかは少し大きくなってきたかな、という感じだった。
5ヶ月くらいかな。きっと安定期だね。ちょうどあの時の幼馴染と似た感じだなーと妊婦さんをみて思っていた。
ふと、目線を補助座席に座っていた女の子に向けると、二人はなんだか顔を見合わせていた。
そして一人が立ち上がり、妊婦さんに「あのー、どうぞ」と言って席を譲ろうとしたのだった。
声をかけられて驚いて、さらに席を譲ろうとしている、という事に気付いて、本当にびっくりしている様子の妊婦さんだったが、「あ、次の駅で降りるので・・・大丈夫です」と断ってしまった。
多分、一人で電車に乗っているくらいだし、本当に大丈夫だったんだろうけど、女の子は折角勇気を出して言ったんだから、座ってあげたらよかったのにな、と思った。
だけど、今までそんなことがなかったから驚いたんだろうな、と思う。
ワタシもすごくびっくりしたもん。
いまどきの若い子が妊婦さんに席を譲るなんて・・・
でもなんだかすごく温かい気持ちになりました。幸せな気持ちになりました。
ワタシの大切な幼馴染も、あの妊婦さんと同じように、人の優しさに触れられてたらいいな、と思わずにはいられませんでした。